文章などの配信を行う「note」で「推薦図書」の募集があったので、そちらに投稿した記事です。
ブログでもシェアします。以下、転載です。

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「あなたの推薦図書は?」と問われて真っ先に思い浮かぶのが、この本です。

TCK

サードカルチャーキッズ 多文化の間で生きる子どもたち

サードカルチャーとは、「第三世界」(発展途上国の総称)のことではありません。
直訳すると「第三の文化に生きる子供」ということです。では、「第三の文化」とはいったい何を指すのでしょう。

第一文化:両親のルーツがある国
第二文化:居住国
第三文化:居住国の中で形成される駐在員社会や移民コミュニティ

そう、サードカルチャーキッズとは、ルーツとなる両親の文化(第一文化)と、居住国の文化(第二文化)を基に、主に移民社会や駐在員社会という独特の文化(第三文化)で成長する(成長した)子供または成人を指します。こういった特殊な多文化の中で育った人々は、何処の国にも属さない独特なアイデンティティを形成します。それは時として彼らを、「自分を理解できる人は何処にもいない」という寄る辺ない孤独感で苛むのだそう。
この本の中には、世界中のサードカルチャーキッズ(以下TCK)や成人したTCK(ATCK)に対して行われたインタビューや実例が掲載されています。
日本人の両親の間で生まれ、オランダで育つ我が子は、まさにTCKそのもの。この本は2010年に日本語訳が発売されています。ラッキーなことに私は、子供がまだ2歳半だった2011年にこの本と出合うことができました。当事者意識をもってこの本を読んだことを覚えています。
そしてその後の子育てで、折に触れてこの本の内容を思い出します。

・この学校選びは、彼女のためになるか
・この引っ越しは、彼女がどう感じるか

などなど、大きな選択の前にこの本の内容を鑑みて考察します。
外国暮らしではあるけれど、なるべく娘が居住国の文化に近い「2.5番目の文化」くらいに居られるよう心がけています。さらに、自身のアイデンティティになりうる日本語や日本の文化継承も。どちらにも愛着と帰属意識を覚えて欲しいですからね。

けれどグローバル化が進む現代では、どうしても海外駐在や引っ越しは避けられないことがありますよね。せっかく現地の生活に慣れた頃、別の場所や母国に本帰国になったりという事態も。そんな時も、「それが子供にどういう影響を与えるか」を知っているだけでもだいぶ違うと思うんです。この本の中には、自分の寄る辺なさを親に理解されなくて悲しかったと語るTCKが沢山でてきます。そしてそれが成人後にも影響を及ぼし、自分の家族を作るときに大きな障害になったりもするのです。中には、大人になってから思春期のような言動を繰り返すATCKもいるのだとか。

海外で育つ我が子の心の中に何が起きているのか知り、そして成人後にそれが表層に出てくる可能性もあるのでその心構えを持つ。それだけでも、子供との接し方が変わってくるのではないでしょうか。

私の推薦図書は、「サードカルチャーキッズ 多文化の間で生きる子どもたち」。
外国で子育てする可能性のある方は、ぜひ読んで欲しい1冊です。 


==========お知らせ==========

電子書籍出版しました!
(紙版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

レギュラーで書いている主な執筆媒体のご紹介です。
ぜひ読んでみてください♪

「現代ビジネス」(不定期掲載)
http://gendai.ismedia.jp/list/author/naokokurata

「Glolea!」(プロフィール&執筆記事一覧)
http://www.glolea.com/ambassador/kurata-naoko/profile

「未来住まい方会議」(執筆記事一覧)
http://yadokari.net/author/kurata/ 

「TABIZINE~人生に旅心を~」(執筆記事一覧)
http://tabizine.jp/author/kuratanaoko/

「ima(今) 海外リポーターが伝える世界の生活情報サイト」 (執筆記事一覧)
http://ima-earth.com/contents/profile.php?userid=kurata

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