先日、こちらの本を読了しました。


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安楽死を遂げるまで (Kindle版)

講談社ノンフィクション賞受賞作品!

安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である。超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。しかし、実態が伝えられることは少ない。

安らかに死ぬ――。本当に字義通りの逝き方なのか。患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。遺された家族はどう思うか。

79歳の認知症男性や難病を背負う12歳少女、49歳の躁鬱病男性。彼らが死に至った「過程」を辿りつつ、スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や、「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師を訪ねた。当初、安楽死に懐疑的だった筆者は、どのような「理想の死」を見つけ出すか。第40回講談社ノンフィクション賞を受賞した渾身ルポルタージュ。

(Amazonの解説より)

オランダの安楽死事例が取り上げられていると聞いて読んだのですが、すごかったです。。。
著者の取材力に脱帽でした。

そこで気になったのが、著者が本文中に書いていた

「オランダでは外国人が安楽死できない」

という記述。
同じ著者が「プレジデントオンライン」に書いている文章にも

「外国人が安楽死できる国はスイスだけ」

とはっきり書かれていました。
(※追記:上記記事内に「オランダでは、在住者は保険が適用され無料となる。」とありました。
この「在住者」には外国籍者も含む意図なのかもしれません)


何事にも裏付けが欲しいお年頃の私は、オランダの情報を検索。
すると、オランダ政府のホームページに、こんな記述を見つけました。

Euthanasieverzoek van patiënten uit het buitenland
(海外からの患者からの安楽死の要求)
https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/levenseinde-en-euthanasie/vraag-en-antwoord/wie-kan-om-euthanasie-vragen

要約すると

・(外国人の)患者を安楽死させる医師は、法律で指定されている適切な治療要件を満たさなければならない。
・医者は患者の病歴を知っていなければならない。
・医師は、患者が見込みなしに苦しんでいること、そして他の治療法の選択肢はないという確信に達することができなければならない。
外国人患者の病歴をよく知ることは、困難な場合もある。
・医者はまた、患者が要求を慎重に検討したと判断しなければならない。そしてその苦しみは患者にとって耐え難いものである。
・安楽死を要求する海外からの患者のために、医者はまた適切なケア要件を満たさなければならない。
・医者は、外国人患者からの安楽死の要求に対応するかどうか、自分で決めることができる。
そして、その要求が適切かどうかを調査するために、他に何が必要だと考えるかを決める。
(例えば、患者を治療した、または治療したことのある医療提供者と相談することなど)

という内容でした。
オランダ人の医師が外国の医師と病状などに関してコンタクトを取るのはハードルが高いかもしれませんが、外国人の安楽死を禁じている訳ではなさそうです。

そして、上記の本の中にも登場する「オランダ自発的安楽死協会」(NVVE)は、より踏み込んだ書き方をしています。

Kan een niet-Nederlander, woonachtig in Nederland, een arts om euthanasie vragen?
(オランダに住んでいる非オランダ人が、安楽死を医師に頼むことはできますか?)

Ja. Voor uw aanvraag gelden net als voor ieder ander de zorgvuldigheidseizen van de euthanasiewet .
(はい。あなたの申し込みには、他のすべての人と同じように、安楽死法の適正ケア要件が適用されます。)

「はい」って言ってますね。
ちなみに、同じページにあった「オランダに住んでいない非オランダ人が、安楽死を医師に頼むことはできますか?」という質問には、前述した政府HPとほぼ同じ文章が書かれていました。
そこには「はい」も「いいえ」も無いので、条件次第ではということなのでしょう。
(政府HPにもあるように、医師が対応を拒否することもできますし)

結論としては、「外国人でも、居住者ならOK。非居住者もオランダで安楽死を依頼することはできるけど(合法)、医師を納得させるのが大変だし、対応してもらえるかどうかは分からない」というところでしょうか。

ちなみに私は、この「安楽死を遂げるまで」を読み、日本での安楽死合法化はやめたほうが良いと思いました。
何故なら、日本は家族と個人の境界が曖昧すぎると思います。
空気を読みすぎるので、いつの間にか「家族の希望」が「自分の希望」にすり替わってしまうことも多いのではないでしょうか。
そういう部分が、個人の意見を尊重するオランダやスイスとの違いだと思います。

また、私がこのブログ記事を書いたのも、決して安楽死を推奨するためではありません。
純粋にオランダの安楽死に関する法律が気になって調べた結果の、その備忘録として記しています。
そして政府HPやNVVEにも更新日の記載が無いので、これが最新情報なのかも不明です。
私の訳も個人の読解であり、正確さを保証するものではありません。
それらのことをご理解いただければ幸いです。


==========お知らせ==========

電子書籍出版しました!
(紙版)「日本人家族が体験した、オランダの小学校での2年間

レギュラーで書いている主な執筆媒体のご紹介です。
ぜひ読んでみてください♪

「現代ビジネス」(不定期掲載)
http://gendai.ismedia.jp/list/author/naokokurata

「Glolea!」(プロフィール&執筆記事一覧)
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